「薬剤師の海外医薬品相談室」ブログへようこそ! 前回は、個人輸入における薬機法の基本的なルール、特に「認められる理由」「量の制限」「販売・譲渡の禁止」について解説しました。

今回は、さらに一歩踏み込み、「うっかりやってしまいがちな薬機法違反の具体的な事例」と、もし違反してしまった場合に科される「罰則の種類」について詳しくお話しします。 「知らなかった」では済まされないのが法律の世界です。あなたの個人輸入が安全で健全なものであるためにも、しっかりと確認しておきましょう。

1. よくある薬機法違反事例

個人輸入で最も多い違反は、前回お話しした「販売・譲渡の禁止」に関連するものです。具体的なケースを見ていきましょう。

  • 転売目的の輸入・販売:
    • 「安く仕入れて高く売ろう」という考えで、フリマアプリやオークションサイトで個人輸入した医薬品やサプリメントを販売する行為は、最も典型的な薬機法違反です。
    • たとえ少量でも、継続的に行っていれば「業」とみなされ、無許可販売として厳しく取り締まられます。
  • 友人・知人への譲渡(無償も含む):
    • 「もう使わないから」「友人が困っているから」といった善意であっても、個人輸入した医薬品や健康食品を他人に無償で譲り渡す行為も薬機法違反です。
    • これは、譲渡された側が予期せぬ健康被害を受けた場合、製品の安全性や品質が保証されていないため、責任の所在が不明確になるのを防ぐためです。
  • 過剰な量の輸入:
    • 前回お話しした「医薬品は1~2ヶ月分以内」「化粧品は24個以内」といった量の制限を超えて輸入する行為は、転売目的とみなされる可能性があります。
    • たとえ個人的に使用する目的であっても、量が多すぎると税関で止められ、詳細な説明を求められたり、没収されることがあります。
  • 虚偽の申告:
    • 税関申告の際に、輸入する製品の種類や数量について嘘の申告を行うと、関税法違反だけでなく、薬機法違反に問われる可能性もあります。
  • 広告行為:
    • 個人ブログやSNSで、個人輸入した製品の効果・効能を過度に謳ったり、医療行為と誤解されるような表現で推奨したりする行為も、薬機法上の広告規制に抵触する可能性があります。

2. 実際にあった逮捕事例(ケーススタディ)

実際に、薬機法違反で逮捕された事例は存在します。

  • 事例1:痩身薬の無許可販売
    • 海外から痩身効果を謳う未承認の医薬品を大量に個人輸入し、SNSやウェブサイトを通じて不特定多数の人に販売していた事例です。数千万単位の売り上げがあったケースもあります。
    • 購入者から健康被害の訴えがあり、捜査当局が介入して逮捕に至っています。
  • 事例2:美容医薬品の転売
    • 美容目的の海外製注射剤などを個人輸入し、美容クリニックではない場所で販売・提供していた事例です。医師法や薬機法に違反するとして摘発されています。

これらの事例は、安易な気持ちで始めた行為が、いかに大きな結果を招くかを示しています。

3. 薬機法違反の罰則の種類

薬機法に違反した場合、その内容によって様々な罰則が科せられます。主な罰則は以下の通りです。

  • 罰金:
    • 最も一般的な罰則で、数百万~数千万円といった高額な罰金が科せられることがあります。
    • 違反の規模や悪質性によって金額は大きく変動します。
  • 懲役:
    • 特に悪質な場合や、反復して違反行為を行っていた場合などには、懲役刑が科せられることもあります。
    • 懲役と罰金が併科されるケースも少なくありません。
  • 課徴金:
    • 不当に得た利益に対して、課徴金が課されることもあります。
  • 社会的な制裁:
    • 逮捕や報道により、個人の社会的信用が失墜し、その後の生活やキャリアに大きな影響が出る可能性があります。

まとめ:リスクを認識し、安全な選択を

薬機法は、国民の健康と安全を守るための重要な法律です。個人輸入は便利な一方で、複雑な側面も持ち合わせているため、意図せず違反してしまうリスクもゼロではありません。

「知らなかった」で済まされないのが法律です。安易な判断や、少しでも「おかしいな?」と感じる行為は避け、常に慎重に行動することが求められます。

不安なときは

⚠️個人輸入は情報が出回りにくく、正確なことを調べるだけでも一苦労です。
そんなときはこちらから質問してください。あなたの疑問を解消できるかもしれません。

次回は、個人輸入で遭遇しやすい「税関でのトラブル」とその対処法について詳しく解説します。どうぞお楽しみに!

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