
「薬剤師の海外医薬品相談室」ブログへようこそ! 前回は、個人輸入に潜む根本的な危険性、特に「日本の基準との違い」「情報不足」「自己責任原則」についてお話ししました。
今回は、個人輸入で特に注意が必要な「偽造医薬品」について詳しく掘り下げていきます。偽造品は、あなたの健康を脅かす重大なリスクをはらんでいます。
1. 偽造医薬品とは?
偽造医薬品とは、本物の医薬品に似せて作られた、偽物の薬のことです。 見た目は本物そっくりでも、中身は全く異なるか、有効成分が全く入っていない、あるいは有害な物質が含まれていることがあります。
- 成分がゼロ: 効果があるはずの成分が全く含まれていないため、病気が治らず悪化するリスクがあります。
- 誤った成分: 全く異なる成分が含まれており、予期せぬ副作用や健康被害を引き起こす可能性があります。
- 不衛生な環境での製造: どこでどのように作られたか不明なため、不純物や細菌が混入していることも少なくありません。
これらの偽造品は、製薬会社が本来厳しい管理のもとで製造している正規の医薬品とは全く異なり、品質や安全性が一切保証されていません。
2. 健康被害のリスク
偽造医薬品の使用は、以下のような深刻な健康被害に直結する可能性があります。
- 病気の悪化: 有効成分が入っていないため、服用しても病気や症状が改善せず、治療の機会を逃してしまうことがあります。
- 予期せぬ副作用: 意図しない成分や不純物が含まれていることで、重篤なアレルギー反応や臓器障害など、予測できない副作用を引き起こす危険性があります。
- 薬剤耐性の問題: 抗生物質などの場合、成分量が不足していることで、薬剤耐性菌を生み出し、将来の治療が困難になる問題も指摘されています。
まさに、あなたの健康を直接的に危険にさらす存在なのです。
3. 見分け方のヒント:注文前にチェックすべきこと
偽造品は見た目では判断が難しいケースも少なくありませんが、以下のような点に注目することで、リスクを減らせる可能性があります。
- 価格が極端に安い: あまりにも安価な場合は、偽造品の可能性を疑いましょう。正規の医薬品には、その製造コストに見合った適正な価格があります。
- パッケージの違和感:
- 印刷の粗さ: 文字がぼやけている、色がずれている、フォントが不自然など。
- スペルミス: 薬の名称や成分名に誤字・脱字がないか確認しましょう。
- 説明書の不備: 不自然な日本語訳、簡略すぎる説明、必要な情報が欠けているなど。
- 封印やシールの異常: 開封された形跡がある、粘着力が弱い、偽造防止ホログラムがない、または粗悪なもの。
- 購入元が不明瞭:
- 連絡先が曖昧: 住所や電話番号が記載されていない、フリーメールアドレスしか連絡先がないなど。
- サイトの作りが粗悪: 不自然な日本語、誤字脱字が多い、セキュリティが甘い(SSL化されていないなど)。
- 「個人輸入代行」の表示がない: 正規の代行業者ではない可能性。
これらのヒントはあくまで目安であり、偽造品を見抜く絶対的な方法ではありません。特に、巧妙に作られた偽造品は専門家でも判別が困難な場合があります。
不安なときは
⚠️個人輸入は情報が出回りにくく、正確なことを調べるだけでも一苦労です。
そんなときはこちらから質問してください。あなたの疑問を解消できるかもしれません。
次回は、海外では承認されていても日本では未承認の薬や成分が持つリスクについて、さらに詳しく解説します。どうぞお楽しみに!